「原因不明の息切れや動悸…」それは心臓の筋肉の病気、
心筋症かもしれませんCARDIOMYOPATHY
「最近、少し動くと息が切れるようになったけれど、特に心臓の血管には問題ないと言われた」
「健診で心臓が大きいと言われたけれど、自覚症状はほとんどない」
「特に思い当たる原因がないのに、動悸が続く」…
もし、このような経験があるなら、それはもしかしたら心筋症のサインかもしれません。
心筋症は、心臓の筋肉(心筋)そのものに異常が生じ、心臓のポンプ機能が低下してしまう病気の総称です。心筋梗塞や心臓弁膜症のように、血管や弁に直接の原因があるわけではなく、心筋そのものの病気である点が特徴です。進行すると心不全に至ることもあり、早期発見と適切な管理が非常に重要になります。
今回は、心筋症について皆さんに正しく理解していただき、気になる症状があった時に見過ごさず、専門医に相談できるよう、詳しくお話ししていきます。
心筋症って、どんな病気?DISEASE
私たちの心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役割を担っています。このポンプの働きを支えているのが、心臓の壁を構成する心筋です。心筋は、収縮と弛緩を繰り返すことで、血液を効率よく送り出しています。
心筋症は、この心筋に異常が生じ、心臓のポンプ機能が低下してしまう病気です。大きく分けて、以下の3つのタイプに分類されます。
拡張型心筋症
心臓の壁が薄くなり、心臓全体がブヨブヨと拡張して大きくなってしまうタイプです。心臓がうまく収縮できなくなり、全身に十分な血液を送り出せなくなります。最も頻度が高い心筋症です。
肥大型心筋症
心臓の壁、特に心室中隔(左右の心室を隔てる壁)が異常に厚くなってしまうタイプです。心臓の部屋が狭くなるため、血液を十分に溜められなくなり、また、厚くなった心筋が血液の通り道を邪魔してしまうこともあります。
拘束型心筋症
心臓の壁が硬くなり、拡張しにくくなるタイプです。心臓が血液を十分に溜められなくなるため、送り出す血液量が減少します。比較的まれなタイプです。
これらの心筋症は、原因が特定できない「特発性」の場合もあれば、遺伝的な要因、ウイルス感染、不整脈、高血圧症、糖尿病、アルコール過剰摂取などが関連している場合もあります。
こんな症状、見逃していませんか?心筋症のサインSYMPTOMS
心筋症は、初期には自覚症状がほとんどなく、健康診断などで偶然発見されることもあります。しかし、病気が進行するにつれて、以下のような症状が現れることがあります。
息切れ・呼吸困難
特に体を動かした時(階段を上る、坂道を歩く、重いものを持つなど)に、以前よりもひどい息切れを感じるようになった。
少しの運動でもすぐに息が上がる。
横になると息苦しくなり、体を起こした方が楽に感じる(起座呼吸)。
夜中に突然息苦しさで目が覚める(発作性夜間呼吸困難)。
これらは、心臓のポンプ機能が低下し、肺に血液がたまりやすくなっているサインです。
疲れやすい・だるい
心臓から全身に送られる血液量が不足するため、体が常にエネルギー不足の状態になり、以前より疲れやすくなった、体が重くだるい、と感じることが増えます。
むくみ
特に足首や足の甲がむくむ、すねを指で押すと跡が残る、体重が増えていないのに体がむくむ感じがする、といった症状が現れることがあります。これは、心臓の働きが弱まり、血液の循環が滞って、体の中に水分が溜まりやすくなるためです。
動悸・不整脈
心臓がドキドキする、脈が飛ぶ、脈が速すぎたり遅すぎたりするといった動悸や不整脈を感じることがあります。心筋症によって心臓に負担がかかることで、不整脈が誘発されやすくなります。特に肥大型心筋症では、不整脈が突然死の原因となることもあります。
胸の痛み・胸部不快感
心筋に十分な血液が届かないことで、胸の痛みや圧迫感を感じることがあります。特に肥大型心筋症で心筋が厚くなり、心筋が多くの酸素を必要とする場合に現れやすい症状です。
めまい・失神
重度の心筋症や不整脈が原因で、脳への血流が一時的に不足することで、めまいや立ちくらみ、ひどい場合には失神することがあります。
心筋症の早期発見と治療の重要性EARLY DETECTION
心筋症は、自覚症状がないまま進行することもあり、気づいた時にはすでに病気が進んでいるケースも少なくありません。しかし、早期に発見し、適切な治療と生活習慣の管理を行うことで、症状の進行を遅らせ、心不全への移行を防ぐ、あるいは心不全の状態を改善することが可能です。
「歳のせいだろう」「運動不足だから」などと自己判断せずに、上記のような症状に一つでも心当たりがある場合は、早めに専門医に相談することが非常に大切です。
当院での心筋症の検査と診断・治療INSPECTION
大分あべハートクリニックでは、心臓の専門医が、皆さんの症状やお話をじっくり伺い、心筋症の診断と治療を行います。
診察
聴診をはじめとし身体診察を行い、体の状態を評価します。
心電図検査
心臓の電気的な活動を記録し、心臓への負担や不整脈の有無を確認します。
心臓超音波検査(心エコー)
心筋症の診断に最も重要な検査です。心臓の大きさ、心筋の厚さ、動き、ポンプ機能などをリアルタイムで詳しく評価します。
胸部X線検査
心臓の大きさや肺のうっ血の有無を確認します。
採血検査
心臓への負担を示すマーカーや、原因となる可能性のある全身性の病気がないかを調べます。
ホルター心電図
24時間心電図を記録し、日常生活での不整脈の有無や種類を確認します。
これらの検査の結果に基づいて、心筋症の診断を行います。診断の結果、心筋症がわかった場合には、一人ひとりの病状やライフスタイルに合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
心筋症は原因の検索が肝要であるため、専門医療機関での冠動脈評価や入院検査をお勧めすることもあります。
治療は、心筋症自体に対する治療と心筋症による心不全の治療を行います。心臓の負担を減らすなどの薬物療法が中心となりますが、不整脈に対する治療、また、心臓の機能改善・再発予防を目的とした心大血管リハビリテーションが非常に有効です。
心大血管リハビリテーションで、心臓を強く、より良くREHABILITATION
心筋症と診断された方、または心不全の状態にある方にとって、心大血管リハビリテーションは、病気の進行を遅らせ、症状を改善し、生活の質を高める上で非常に重要な治療法です。
当院では、医師、理学療法士、看護師などが連携し、患者さん一人ひとりの心臓の状態や体力レベルに合わせた個別プログラムを作成します。安全に配慮した運動療法に加え、食事や水分管理、服薬指導、再発予防のための生活習慣の改善、精神的なサポートなど、多角的なアプローチで心臓の機能を回復させ、体力を向上させることを目指します。
「心臓の病気だから安静にしていればいい」と思われがちですが、適切な運動は新機能を維持、改善し、生活の質を向上させるために不可欠です。心大血管リハビリテーションを通して、心筋症と向き合いながらも、より活動的で質の高い日常生活を送れるよう、私たちがお手伝いします。
あなたの心臓の健康を、私たちにお任せくださいHEALTH
心筋症は、見過ごされがちな病気ですが、その症状を早期に察知し、適切な専門医に相談することが、ご自身の健康を守る上で何よりも大切です。
もし、ご自身やご家族に気になる症状がある場合、また、心筋症について不安を感じている方は、どうぞお一人で悩まず、大分あべハートクリニックにご相談ください。
大分あべハートクリニックは、専門的な知識と経験をもって、皆さんの心臓の健康、元気生活を全力でサポートいたします。







