「お腹や胸の違和感、もしかして?」見過ごしてはいけない、
動脈瘤という”時限爆弾”ANEURYSM
「健康診断で大動脈が少し膨らんでいると言われたけれど、特に症状はないから大丈夫かな?」
「お腹に何となく拍動を感じるような気がする」
「胸の奥に原因不明の違和感がある」…
もし、このような経験や不安を感じているなら、それはもしかしたら動脈瘤のサインかもしれません。
動脈瘤とは、全身に血液を送る動脈の壁が弱くなり、一部がコブのように膨らんでしまう病気です。初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、まさに「サイレントキラー」とも呼ばれます。しかし、進行すると破裂する危険性があり、破裂した場合は命に関わる重篤な状態になります。
今回は、動脈瘤について皆さんに正しく理解していただき、この「時限爆弾」とも言える病気のサインを見逃さず、適切なタイミングで専門医に相談できるよう、詳しくお話ししていきます。
動脈瘤って、どんな病気?DISEASE
私たちの体には、心臓から全身に酸素や栄養を運ぶための大動脈という太い血管が走っています。この大動脈は、心臓から出て胸の中を通り(胸部大動脈)、横隔膜を越えてお腹の中を通り(腹部大動脈)、足へと分岐していきます。
動脈瘤は、この大動脈や、そこから枝分かれする血管の壁が、加齢や動脈硬化などの影響で弱くなり、血圧に耐えきれずに局所的に風船のように膨らんでしまう状態を指します。コブのように膨らんだ部分の血管の壁は非常に薄くなっており、内側からかかる圧力に耐えきれなくなると、破裂してしまう危険性があるのです。
動脈瘤は、発生する場所によって「胸部大動脈瘤」や「腹部大動脈瘤」などに分けられますが、特に腹部大動脈瘤は発見されにくく、かつ破裂すると非常に危険なため注意が必要です。
なぜ動脈瘤ができるの?主な原因を知ろうCAUSE
動脈瘤ができる主な原因は、血管の壁が弱くなることです。
動脈硬化
最も大きな原因です。高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙などが動脈硬化を促進し、血管の壁が硬く、もろくなります。
高血圧症
常に高い血圧が血管の壁に負担をかけ、動脈瘤の発生や拡大を促進します。
喫煙
血管を収縮させ、動脈硬化を強力に進行させます。動脈瘤の発生リスクを大幅に高めます。
遺伝的要因
家族に動脈瘤の人がいる場合、発症リスクが高まることがあります。
加齢
血管は年齢とともに弾力性を失い、弱くなっていきます。
特定の疾患
マルファン症候群などの結合組織病、大動脈炎などの炎症性疾患も原因となることがあります。
症状はほとんどない?動脈瘤の「サイレントキラー」性SYMPTOMS
動脈瘤の最も怖い特徴は、破裂するまでほとんど自覚症状がないことです。そのため、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれることもあります。健康診断や、他の病気の検査中に偶然発見されるケースがほとんどです。
しかし、動脈瘤が大きくなったり、周囲の臓器を圧迫するようになると、以下のような症状が現れることがあります。
腹部の拍動(腹部大動脈瘤の場合)
お腹に手を当てると、ドクンドクンと拍動するしこりを感じることがあります。特に痩せている方で気づきやすい傾向があります。
仰向けになった時に、おへそのあたりで脈打つような違和感を感じることがあります。
胸部や背中の痛み・違和感(胸部大動脈瘤の場合)
胸の奥や背中に、原因不明の鈍い痛みや圧迫感を感じることがあります。
声がかすれる(嗄声)、食べ物が飲み込みにくい(嚥下障害)、咳が続くなどの症状が現れることもあります。これは、動脈瘤が気管や食道、声帯の神経などを圧迫するためです。
腰や背中の痛み
動脈瘤が大きくなり、周囲の神経や骨を圧迫することで、腰や背中に痛みを引き起こすことがあります。
破裂時の激痛
動脈瘤が破裂した場合は、突然の激痛が走ります。 腹部大動脈瘤が破裂した場合は、お腹や腰、背中に「今までに経験したことのないような」耐え難いほどの激しい痛みが起こり、同時に冷や汗、吐き気、意識障害などのショック症状を伴います。胸部大動脈瘤が破裂した場合は、胸の激痛とともに同様の症状が現れます。
このような症状が現れた場合は、一刻を争う緊急事態です。すぐに救急車(119番)を呼んでください。
早期発見が命を救う!定期的な検査の重要性EARLY DETECTION
自覚症状がないことが多い動脈瘤だからこそ、早期発見が何よりも重要になります。
健康診断
腹部エコー検査や胸部X線検査などで偶然発見されることがあります。
超音波検査(エコー)
腹部大動脈瘤の診断に非常に有効で、体への負担も少ない検査です。
特に、以下のいずれかに当てはまる方は、定期的な検査を検討することをお勧めします。
- 高血圧、脂質異常症、糖尿病がある方
- 喫煙習慣がある方、または過去に喫煙していた方
- ご家族に動脈瘤の方がいる方
- 65歳以上の男性(腹部大動脈瘤の発生リスクが高いため)
当院での動脈瘤の診断と管理DIAGNOSIS
大分あべハートクリニックでは、動脈瘤の早期発見と適切な管理に力を入れています。
気になる症状がある方や、動脈瘤のリスクが高い方には、まずは丁寧な問診を行い、症状や既往歴、生活習慣などを詳しく伺います。その上で、必要に応じて以下の検査を行います。
腹部超音波検査(腹部エコー)
腹部大動脈瘤の有無や大きさを確認するのに非常に有効な検査です。痛みもなく、短時間で実施できます。
心臓超音波検査(心エコー)
心臓の状態を確認し、大動脈弁などに異常がないか確認します。
レントゲン検査
胸部大動脈の異常や、心臓の拡大などを確認します。
採血検査
動脈硬化のリスク因子(コレステロール値、血糖値など)や炎症の有無を調べます。
検査の結果、動脈瘤が発見された場合でも、その大きさや種類によって治療方針は大きく異なります。
小さな動脈瘤の場合
定期的な経過観察と、動脈硬化の進行を抑えるための生活習慣の改善(禁煙、血圧・血糖・コレステロールの管理など)を行います。
大きくなったり、破裂のリスクが高い場合
手術による治療(人工血管置換術やステントグラフト内挿術など)が必要となります。その場合は、専門の病院へ速やかにご紹介し、連携して治療を進めていきます。
予防と早期発見が、あなたの命を守るPREVENTION
動脈瘤は、自覚症状がなくても放置すると非常に危険な病気です。しかし、適切な生活習慣の管理と定期的な検査によって、そのリスクを減らし、万が一発見された場合でも、手術等で破裂を未然に防ぐことができます。
「もしかしたら?」という小さな不安でも構いません。ご自身の血管の健康について心配な方は、どうぞお一人で悩まず、大分あべハートクリニックにご相談ください。私たち大分あべハートクリニックは、専門的な知識と経験をもって、皆さんの心臓の健康、元気生活を全力でサポートいたします。







